会報『東アジア論壇』十三号掲載の報告から

第12回全中国選抜日本語スピーチコンテストがさる7月18日(火)、東京日経ホールにて成功裏に開催された。

全中国選抜日本語スピーチコンテストは、数ある日本語コンテストの中でも最大規模を誇るスピーチコンテストであり、中国の若者に日本語学習の意欲を高め、日本への理解を深めてもらおうという日本華人教授会議の提案に、日本経済新聞社、中国教育国際交流協会が呼応した形で2006年に第1回スピーチコンテストが行われた。現在では、日本華人教授会議のメインイベントになっている。中国では現在、約68万人の大学生が日本語を学んでいると言われ、日中の政治・外交関係が厳しかった中でもその数は増えていたと言われる。

本スピーチコンテストは、まず5月から一ヶ月かけて中国の8会場で予選を行い、各会場の優勝者2名ずつの計16名が東京に集まり、本選に挑むという形になっている。2017年の予選会場は、北京(対外経済貿易大学)、天津(同外国語大学)、長春(吉林大学)、上海(同教育国際交流協会)、広州(同外語外貿大学)、武漢(華中師範大学)、西安(同外国語大学)、貴陽(貴州大学)であった。日本で行われる本選まで勝ち進んだ選手は、1週間ほど日本に滞在し、実際の日本を自分の目で確かめることになっている。

第12回の全中国選抜日本語スピーチコンテストに関しては、まず2017年1月10日、吉林大学にて準備委員会が開催され、日本華人教授会議より担当幹事、唐亜明氏が会議に出席した。準備委員会の席上、今回のスピーチのテーマを「日中相互理解を目指して———私がやってきたこと、やってみたいこと」「私が起業するならこんな起業」と決定した。

2017年のスピーチコンテストは、5月6日上海ブロックを皮切りに、全国の8会場にて順次行われ、6月3日、北京、華北両会場を以って、全ブロックの予選が終了した。第12回のスピーチコンテストには延べ1万名近くの大学生が参加した。そのうち、16名の選手が予選を勝ち抜き、東京での本戦に臨むことになった。

第12回スピーチコンテストの本戦には、華人教授会議メンバー3名が審査委員を務めた。中国の若者の考え方や視点を知るための貴重な機会と捉え、多くの日本の方々が駆けつけてくれた。

優勝したのは、西安交通大学陳星竹(22)さんであった。陳さんは、「日中相互理解を目指して————私がやってきたこと、やってみたいこと」を選び、「日中相互理解を目指すために、人と人、国と国のつながりを強化し、日中相互理解を実現したい」とスピーチし、将来はメディアに関わり、日中の報道ギャップを埋めたいと熱く語った。準優勝したのは、孫佳瑞(四川外国語大学)と郝菲(厦門大学)であった。

昨年に続き、今年も来場の聴講者に投票いただく「会場特別賞」も設けられ、「最も印象に残ったスピーチ」に呉優君(華中師範大学)、「最も印象に残った質疑応答」に郝菲さん(厦門大学)がそれぞれ選ばれた。

スピーチコンテストの翌日、選手代表団の皆さんは中国大使館を表敬訪問した。
東京での日程終了後、代表団は、古都京都を訪問し、八日間の日程を終え、帰国した。

第12回全中国選抜日本語スピーチコンテストは、協賛各社、関係者の皆様のご支援、ご協力のもと、成功裏に終了した。2018年の大会に向けて、華人教授会議は、さらに積極的に関与し、日中両国の関係発展に貢献するよう、決意を新たにするところである。 (文責:沈国威 関西大学教授)


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