新時代における日本華人教授会議の役割

11期日本華人教授会議代表 戴二彪(アジア成長研究所所長・教授)

2025年、第二次世界大戦の終戦から80年を迎える。この80年間、特に1980年代末の冷戦終結後の30年以上にわたり、グローバル化の急速な進展とIT革命の波に乗り、世界経済はかつてない発展を遂げてきた。その中でも、中国をはじめとする新興国の台頭は、世界経済と国際政治の構造を大きく変えた。

このような変化は、多くの発展途上国にとって大きな励みとなる一方で、一部の先進国などにとっては、一種の挑戦、さらには脅威と受け取られることもある。実際、近年、東アジアを含む国際社会では、国家や地域間の相互信頼が低下し、長年の努力によって築かれてきた国際秩序や多くの国際機関が崩壊の危機に直面している。同時に、さまざまな要因が絡み合う中で、一部の地域では紛争のリスクが高まっている。

こうした状況の中、危機意識を高め、国際的な相互理解の場を増やすことが極めて重要である。日本の大学や研究機関に所属する華人教授を中心とする「日本華人教授会議」は、以下の取り組みを通じて、微力ながら現状の改善に貢献できると考える。

  1. 各分野の学術交流を促進し、日中間の専門家の往来や、両国間のハイレベル対話のためのプラットフォームを形成する。
  2. 華人教授会議が主催・共催する公開講座をさらに拡充し、日中両国民の相互理解と相互信頼の向上を図る。
  3. 日中両国の教育・文化機関および社会各界と連携し、中国の大学生を対象とした「中国大学生日本語スピーチコンテスト」や、日本の大学生を対象とした「日本大学生中国語スピーチコンテスト」を引き続き毎年開催することで、両国の若者同士の言語・文化交流を促進し、未来志向の協力関係を築く。
  4. 各自の専門分野において本業を全うするとともに、少子高齢化対策、移民政策、気候変動対策、AI技術の発展と応用に伴う新たな課題など、日中両国やアジア・世界各国が共通して直面する課題について、日中間および多国間の共同研究を推進する。

持続可能な経済発展は、日本や中国をはじめとするアジア各国にとって永遠の目標である。経済発展に影響を与える要因は多岐にわたるが、一つのシンプルかつ重要な結論として、「平和な環境こそが持続可能な経済発展の基本条件である」ということが挙げられる。

私たち日本華人教授会議の活動が、日中両国をはじめとする世界各国の平和と発展を支える一助となることを心より願っている。

2025331日)


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