日本における外国出身高度人材の就職地選択行動と影響要因

 

アジア成長研究所研究部長・教授 戴 二彪

 

 

要旨

 

近年の日本において,少子高齢化の加速に伴い,留学生の受入れがさらに重視されるとともに,外国人の就労・定住に関する規制も大きく緩和されている。こうした背景の下で,外国出身高度人材歓迎政策が各地で打ち出されている。しかし,大都市圏と比べ,多くの地方自治体では,一定の政策効果があったものの,期待されたほど大きくはない。その原因の1つとして,多くの人材誘致策は外国出身高度人材の就職地選択行動を十分に理解したうえで策定されたものではないからだと考えられる。

本研究は,統計データと聞き取り調査に基づいて,新卒外国人留学生をはじめ,日本における外国出身高度人材の就職地選択行動を考察した。さらに,都道府県レベルのパネルデータと固定効果モデルを用いて,外国出身高度人材の就職地選択行動に対する目的地の地域特性による影響を検証した。こうした分析の結果とその政策示唆を踏まえて,最後は,地元北九州市の海外人材受入れ・定着促進政策に関して,いくつかの対策を提言したい。

 

 

1.はじめに

 

1960~90年代までの長い間に,日本を含む東アジア諸国の多くは,「人口ボーナス(労働人口の増加速度が総人口増加速度を上回る状態による経済成長へのプラスの影響)」を享受していた(Bloom and Williamson,1998)。しかし,(欧米諸国と比べ)外国出身者の比率が非常に低い日本では,その後の人口出生率の低下と長寿化によって,人口の年齢構造が著しく変化し,総人口における高齢者の比率は世界で最も高くなっている。急激な人口構造の変容の結果,日本の経済成長に対する「人口ボーナス」効果が消えており,少子高齢化によるマイナスの影響が顕著になっていると検証された(Dai and Hatta,2019)。さらに,人口規模(特に労働人口規模)の減少とともに,若者の行動に,新しい領域や異なる環境でチャレンジしていく意欲も弱くなっていると懸念されている。

こうした人口構造における変化によるマイナスの影響を緩和するために,近年の日本では,さまざまな対策が検討されているが,若い外国人労働力の受入れの拡大もその中の選択の1つとなっている。特に,日本の言語・文化・法律をよく理解できる在住留学生(2018年末に約30万人)に関する就職促進政策は日本社会から広い支持を得ており,従来の規制が大きく緩和されている。これに伴い,卒業した留学生をはじめとする外国出身高度人材をめぐる地域間競争も起きている。しかし,一部の地域では海外人材が顕著に増えているものの,多くの地方自治体では,人材誘致効果はまだ期待されたほど大きくない。

日本の地方の海外人材誘致策の効果を高めるために,グローバル化時代の専門人材の就職地選択行動の解明が求められている。近年では,日本における外国出身高度人材を対象とする関連調査が増えているものの(JASSO,各年版;厚生労働省,2019;ディスコ,2019),仮説と統計分析に基づく実証研究はまだ少ない。その中に,留学生卒業後の帰国就職・日本就職・第3国就職を巡る選択行動については,いくつかの興味深い研究が報告されているが(Peng,2012;Liu,2016),日本国内の就職地選択に関する実証研究は,ほぼ見当たらない。

こうした現状を踏まえて,本研究では,日本における留学生をはじめとする外国出身高度人材の日本国内の就職地選択行動に着目し,その行動の特徴と影響要因を明らかにしようとする。本研究は5つの節から構成される。次の第2節と第3節では,統計データを用い,日本における外国出身高度人材の増加動向および就職地選択行動の特徴を考察する。第4節では,2015~18年の都道府県別パネルデータを用いた固定効果(Fixed Effect)モデルに基づいて,地域の新規就職留学生・新規就職外国出身高度人材の人数変化に影響する要因を検証する。第5節では,本研究の分析結果とその政策インプリケーションを要約したうえ,地元北九州市の海外高度人材受入れと定着促進戦略について提言する。

 

2.日本における外国出身高度人材の増加動向

 

 多くの先進国と同様,日本における外国出身高度人材の供給源は,①日本の高等教育機関で教育を受けた留学生と②海外から直接採用された人材,の2つに大別できる。本節では,まず留学生をはじめとする日本における外国出身高度人材の動向を概観する。

 

2.1 日本における留学生の推移

 

日本における留学生政策は,中曽根内閣が「留学生受入れ10万人計画」を策定した1983年以来,受入れ人数を拡大する方向で実施されてきた(文部省学術国際局留学生課,1983;文部科学省,2020)。

1980年代半ばまでは,日本における外国人留学生の数はまだわずか1万人程度でしかなかった。しかし,1985年の「プラザ合意」以降,急速な円高が進行した結果,日本企業の本格的な海外進出が始まり,国際ビジネス活動を支える人材に対する需要が急増した。それと同時に,円高によって,米ドルで評価される日本の所得水準・賃金水準と国全体の経済力が顕著に上昇し,日本は世界有数の高賃金労働市場と国際人口(留学生,専門人材,労働者)移動における魅力的な目的地候補に躍進した。このような背景の下で,1980年代半ばから,日本政府は,「途上国の人材育成への貢献」,「国際友好関係の強化」,および「我が国の企業の世界進出や貿易の促進等」を主な目的として,「留学生受入れ10万人計画」を本格的に実施し始めた。

2003年に,当初の目標である10万人の受入れがはじめて達成された。そして,2008年7月29日に,2020年を目途に30万人の留学生受入れを目指す新しい「留学生30万人計画」が日本政府によって新たに公表された。これは,日本を世界により開かれた国とし,アジア,世界との間のヒト・モノ・カネ,情報の流れを拡大する「グローバル戦略」の一環であった(文部科学省,2008;2019)。

振り返ってみると,1983年以来,調整・波動はあったものの,日本政府は留学生受け入れ拡大戦略を実施し続けている。このような留学生政策は,日本の教育界・経済界をはじめ,社会全体から強い支持を得ているといえる。特に近年では,少子高齢化による国内の人口減少(図1)および労働人口減少・大学受験生減少など人口構造上の問題が深刻化しつつあり,留学生受入れ拡大政策の重要性は,大学・企業・地域社会・マスメディアなどに一層理解されるようになっている(文部科学省,2018)。こうした政策を積極的に実施した結果,日本における外国人留学生は,1983年の1万300人から2018年の30万人近くにまで急増した(表1)。

 

図1 日本の総人口および対前年増減率の推移

(出所)総務省統計局『日本の統計2020』第2章「人口・世帯」(https://www.stat.go.jp/data/nihon/02.html)より作成

 

 

 

 

 

 

 

表1 日本における留学生数の推移(単位:人)

(注)「出入国管理及び難民認定法」の改正(2009年)により,2010年7月1日付けで在留資格「留学」「就学」が一本化された。2011年5月以降は日本語教育機関に在籍する学生も「留学生」として計上。

(出所)JASSO(2019)より作成

 

ただし,注意すべきことは,日本における留学生の規模は大きく拡大したとはいえ,2018年の留学生総数の半分以上は日本語学校・準備教育課程・専修学校に在籍しているものである。高等教育機構の正規コース(大学院・学部)に在籍している留学生はまだ14万人未満で,今後さらに増加していく余地があると思われる。

独立行政法人日本学生支援機構の調査結果を見ると,現在日本における留学生の出身国(地域)構成,専攻分野構成,都道府県別分布については,次の特徴がある。

(1)出身国構成については,1980~2000年代の時期に,中国・韓国・台湾など東アジア出身者が常に留学生全体の8~9割を占めていたが,その後,日本企業の海外進出先の変化に伴い,東南アジア出身の留学生の割合が急速に上昇している。特にベトナムとネパールは,韓国・台湾を追い越して,第2位と第3位の留学生出身国に躍進している(表2)。

(2)専攻分野構成については,上位3位の人文科学,社会科学,工学を専攻する留学生は,それぞれ14万人(全体の47%),7.4万人(全体の25%),3.5万人(全体の12%)になっており,科学技術大国日本における留学生としては,理工系学生の割合がやや低いと思われる(表3)。ただし,表3の統計では,日本語学校で勉強している学生(理工系の学部・大学院への進学を目指す学生も含む)をすべて「人文科学」のカテゴリーに分類しているので,理工系学生の割合を幾分過小評価していると見られる。

(3)留学生の都道府県別分布については,3大都市圏での集中が目立っているが,地方の一部自治体(例えば九州の福岡県や大分県)においても,全国平均をはるかに超える割合の留学生を受入れている(表4)。

なお,多くの先行調査によると,近年では,日本の大学に在籍している留学生の6割以上は日本で就職したいと考えている(JASSO,各年版)。後述するように,その中に実際に日本の企業などに採用され,日本で就職する高度人材になった留学生の人数と(卒業した留学生全体に占める)割合は,近年上昇しつつある。

 

表2 日本における外国人留学生の国籍別構成()(単位:人,%)

(出所)JASSO(2019)より作成

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表3 日本における外国人留学生の専攻分野別構成(単位:人,%)

(出所)JASSO(2019)より作成

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表4 日本における留学生の都道府県別分布(単位:%,居住地登録ベース)

(注)居住地登録ベースの「留学生」在留資格所持者には,一部の学業修了者も含まれているので,本表における留学生総人数はJASSOの統計(表1~表3)より若干高い。

(出所)法務省(各年版)より作成

 

2.2 日本で働く外国出身高度人材の動向

 

1980年代末に,外国出身高度人材のスムーズな受け入れをサポートするために,日本政府(法務省)は,出入国管理法の改正を通じて,「技術」・「人文知識・国際業務」(2015年以降,「技術・人文知識・国際業務」へ合併された)など10数種類の外国出身高度人材向けの就労ビザ(正式名称は在留資格)を設けた。2020年現在の日本には,外国人に対するビザ(在留資格)が28種類あるが,それぞれのビザには,該当する活動内容(職務内容)が法律で定められており,活動内容に変更があった場合にはビザの変更が必要になる。その内,主に高度人材を対象とする「就労ビザ」には,「技術・人文知識・国際業務」,「経営・管理」,「高度専門職」,「技能」,「企業内転勤」,「教授」,「芸術」,「宗教」,「報道」,「法律」,「会計業務」,「医療」,「研究」,「教育」など14種類がある。毎年,新規採用(就職)の外国出身高度人材のうち,8~9割は「技術・人文知識・国際業務」ビザの取得者であり,そのほとんどは各分野の民間企業に雇用されている。

前述したとおり,日本における外国出身高度人材の供給源は,①日本の高等教育機関で教育を受けた留学生と②海外から直接採用された人材,の2大カテゴリーに大別できる。日本法務省(出入国在留管理庁)は毎年,在留資格が「留学生」から「技術・人文知識・国際業務」など10数種の就労ビザへ変更された留学生に関する統計を公表するとともに,「技術・人文知識・国際業務」ビザを交付されたすべての外国人に関する統計も公表している。この2つの統計に基づいて作成された図2と図3は,それぞれ,日本における新規就職の留学生と「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得した新規就職の外国出身高度人材全体の推移を示している。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

図2 日本における新規就職の留学生(新規就労ビザ取得者)の推移(単位:千人,%)

(注)毎年卒業・修了者の数は,公表統計データがないので,前の年の在籍留学生総数の5分の1として推定される。

(出所)法務省出入国在留管理庁(各年版a),JASSO(2019)の統計に基づいて作成

 

図3 日本における新規就職の留学生と外国出身高度人材(全体)の推移(単位:人)

(注)「技術・人文知識・国際業務」ビザの新規取得者の人数は,常に各就労ビザ(10数種類)の新規取得者数の8~9割を占めているので,本報告書では,便宜上,「技術・人文知識・国際業務」ビザの新規取得者の動向を新規就職の外国出身高度人材全体の動向と見なす。

(出所)法務省出入国在留管理庁(各年版a,b)に基づいて作成

 

図2と図3からは,次の動向が確認できる。

(1)2008年以前は,新規採用の留学生人数が日本の外国出身高度人材に対する需要を大きく下回る時期である。この時期においては,在籍留学生の規模がまだ小さいと同時に,学業修了後の日本での就職率も,最終の数年を除けば,ほとんど20%前後に過ぎなかった。このため,毎年の新規就職外国出身高度人材全体に占める新規就職留学生の割合は,20~40%程度にとどまっていた。

(2)2008~12年の時期は,新規採用の留学生人数が日本の外国出身高度人材に対する需要に近い時期である。世界金融危機が発生した直後のこの時期においては,高度成長と所得水準の上昇を続けていた中国などからの留学生が増加しつつあるが,経済減速の影響で日本国内の外国出身高度人材に対する需要がかなり減少した。このため,期間中の新規就職外国出身高度人材全体に占める新規就職留学生の割合は,90%以上まで上昇した年もあった。

(3)2013年以降は,外国出身高度人材に対する需要が新規採用の留学生人数を再び大きく超える時期である。この時期においては,「アベノミクス」の実施によって,大企業が集積している3大都市圏をはじめとする地域では,好景気が続いているのに加え,少子高齢化も加速している。これに伴い,外国出身高度人材を含む労働力への需要全般が拡大しつつある。ただし,この時期では,留学生の人数が大きく拡大しているものの,需要側と供給側の質あるいは専門分野上のミスマッチなどの原因で,日本企業の間に,国内在住の留学生の中から必要な人材を採用するとともに,直接海外から優秀人材を採用する動きも広がっている。

ここで注目すべきことは,新規就職の外国出身高度人材の主な職務内容と出身国構成の変化である。表5,表6に示されるように,2001年ごろまでは,経済グローバル化の拡大に伴う英語教育需要の拡大もあって,米国など英語圏先進国が日本企業(民間言語学校を含む)に採用された外国高度人材の主な出身国である。その後,2001年にWTO加盟を果たした中国を始めとするアジア諸国への日本の対外直接投資の急増とIT(情報技術)人材に対する需要の拡大に伴い,中国・韓国・インド・ベトナムなどアジア諸国が日本で働く外国高度人材の主要出身国となった。さらに,近年では,中国など東アジア諸国と日本の間で専門人材の賃金水準格差が縮小しつつあるとともに,日本企業の対アジア直接投資の重点地域が北から南へシフトしているため,東南アジア・南アジア諸国(特にベトナム,インド)出身者が多く採用されるようになっている。こうした変化は,主に九州の企業を対象とする当研究所の聞き取り調査においても確認されている(戴,2020)。

 

 

 

表5 新規「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得者の国籍構成(トップ5)の変化(単位:人)

(出所)法務省出入国在留管理庁(各年版b)に基づき作成

 

表6 新規「技術・人文知識・国際業務」ビザ取得者の主な職務内容の変化

(出所)法務省出入国在留管理庁(各年版b)に基づき作成

 

3.外国出身高度人材の就職先の地域分布

 

前節では,少子高齢化の加速と「アベノミクス」の実施に伴い,近年の日本における外国出身高度人材が増加しつつあることが明らかになった。ただし,外国出身高度人材の増加動向には,大きな地域間格差がある。本節では,新規就労ビザを取得した留学生と新規「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得した外国出身高度人材全体の就職先の地域分布を,それぞれ考察する。

 

3.1 留学生の就職地の都道府県別分布

 

日本法務省出入国管理庁は,毎年,「留学生の日本企業等への就職状況」を公表している。新卒留学生は企業や大学・研究機関などに雇用されたら,従来持っていた「留学生」という在留資格(ビザ)は「技術・人文知識・国際業務」をはじめとする10数種の専門人材向けの就労目的の在留資格(ビザ)へ変更される。

表7は,新規就労ビザを取得した留学生の就職先の都道府県別分布を示している。また,表8は,新規就労ビザを取得した留学生の就職先の3大都市圏・地方圏別分布を示している。

 

表7 新規就労ビザを取得した留学生の就職先の都道府県別分布(単位:人)

(出所)法務省出入国在留管理庁(各年版a)より作成

 

 

表8 新規就労ビザを取得した留学生者の就職先の・地方別分布(単位:人,%)

(注) 本稿における三大都市圏のそれぞれの地域範囲は,次の通りである。東京圏:東京都,埼玉県,千葉県,神奈川県;名古屋圏:愛知県,岐阜県,三重県;大阪圏:大阪府,京都府,兵庫県,奈良県。

(出所)法務省出入国在留管理庁(各年版a)より作成

 

この両表からは,次の特徴が確認できる。

(1)新規就職留学生の就職先は,3大都市圏に集中している。3大都市圏が就労ビザを取得した留学生全体の8割強を吸収していることに対して,地方はその2割弱しか受入れていない。この地域分布パターンは,近年かなり安定している。

(2)3大都市圏の中でも,東京圏への集中が非常に目立っている。日本の首都および世界有数のグローバル都市として,高度な都市機能と多様な可能性を持つ東京の外国出身高度人材に対する吸引力が他の地域をはるかに超えていることは,歴然である。

(3)地方の各自治体の内,もっとも多くの新規就職留学生を受入れているのは福岡県である。これは,アジアに近く,在籍留学生の数は常に全国上位(2~4位)で,アジアに進出している企業の数も多い同県の人材需給関係を反映しているといえる。一方,在籍留学生の数は全国10位前後にランキングされている大分県など一部の地方自治体は,企業に高く評価される卒業生を数多く送り出しているものの,地元(所在県)での就職を選択したのは卒業生全体の1割未満にとどまっている。

 

3.2 新規就労ビザを取得した外国出身高度人材全体の就職先の地域分布

 

第2節で述べたように,近年の日本では,ITをはじめとする一部の専門分野における人材不足が顕在化し,国内留学生の新規採用だけでは解消できなくなっている。このため,多くの企業(事業主)は,直接海外から必要な優秀人材を受け入れている。その結果,日本で働いている外国出身高度人材全体の中に,日本に留学した経験のない人材が占める割合が大きく上昇している。

日本法務省出入国管理庁は,毎年,新規就労ビザ取得者の内,「日本企業等への就職を目的とした『人文知識・国際業務』および『技術』に係る在留資格認定証明書交付状況について」を公表している。前述したように,「技術・人文知識・国際業務」ビザの新規取得者の数は常に全就労ビザ取得者の8~9割程度を占めているので,その地域分布は,各種就労ビザを取得した外国出身高度人材全体の地域分布にかなり近いと考えてよい。

また,日本法務省出入国管理庁は,毎年,居住地登録ベースの『外国人在留統計』も公表している。この統計に基づいて,都道府県別居住地ベースの「技術・人文知識・国際業務」ビザ所持者の新規増加数も算出できる。毎年,在留資格を「技術・人文知識・国際業務」から「永住」へ変更した者や日本国籍に帰化した者は少なくないが,外国出身高度人材の永住在留資格変更率・帰化率の都道府県間格差が小さいので,このような在留資格変更と帰化は,「技術・人文知識・国際業務」ビザ所持者の地域分布の動向に与える影響はかなり小さいと思われる。

これらの統計データに基づいて作成された表9と表10は,それぞれ,新規「技術・人文知識・国際業務」在留資格を取得した外国人全体(留学生を含む)の都道府県別分布と3大都市圏および地方の分布を示している。両表のいずれにおいても,就職地ベースの分布と居住地ベースの分布が示されている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表9 新規「技術・人文知識・国際業務」在留資格取得者の都道府県別分布(単位:人)

(出所)企業所在地別のデータは法務省出入国在留管理庁(各年版b)に,在留居住地別のデータは法務省(各年版)に基づき計算

 

表10 新規「技術・人文知識・国際業務」在留資格取得者全体の地域別分布(単位:人,%)

(出所)企業所在地別のデータは法務省出入国在留管理庁(各年版b)に,在留居住地別のデータは法務省(各年版)に基づき計算

 

表9,表10と前出の表7,表8を比べてみると,次の特徴が明らかである。

(1)新規就職留学生の就職地分布と同様,外国出身高度人材全体の就職地分布も,3大都市圏に集中している。ただし,後者の場合,3大都市圏が占める割合は8割弱で,留学生に関する同割合(8割強)をやや下回っている。一方,地方は,外国出身高度人材全体の2割強を受け入れている。このような地域分布パターンは,近年かなり安定している。

(2)新規就職留学生の就職地と同様,外国出身高度人材全体は,3大都市圏の中でも東京圏に特に集中している。ただし,東京圏が占める割合は,留学生の分布における割合より低い。

(3)地方の各自治体の中に,最も多くの外国出身高度人材を受入れているのは福岡県と北海道である。いずれも人口規模の大きい地域で,高度人材に対する需要も大きいと考えられる。

(4)外国出身高度人材全体の居住地分布パターンは,その就職地分布パターンと類似している。ただし,就職地分布と比べると,居住地分布の場合は,東京圏の割合が幾分下がっているのに対して,名古屋圏・大阪圏・地方の割合がいずれも上がっている。また,東京圏の地域内においては,東京都の割合がかなり下がっているが,周辺数県(神奈川,埼玉,千葉)の割合が上昇している。これは,外国出身高度人材にとって,就職地としての東京の魅力が抜群に高いが,居住地としての東京の魅力が若干下がることを示唆している。

 

4.外国出身高度人材の就職地選択の影響要因

 

4.1 実証分析のモデル

 

前の第3節では,日本における新規就職(採用)の外国出身高度人材の地域分布の特徴を明らかにした。では,こうした地域分布はどのような要因に影響されているのであろうか。本節では,これについて,より詳しい統計データと計量分析モデルに基づいて解明してみる。

具体的には,最近4年間(2015~18年)の外国出身高度人材の就職地・居住地の都道府県分布に関するパネルデータ(4年分の47都道府県別データ)と固定効果(Fixed Effect)モデルを用いて,都道府県別外国出身高度人材(新規就労ビザを取得した留学生,新規「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得した外国出身高度人材全体)数を被説明変数として,その影響要因を検証する。モデルを構築する際,外国人移民の就職地・居住地に関する先行研究・関連調査と第3節の考察結果を踏まえ,次の仮設に基づいて説明変数を選ぶ。

仮説1:都道府県別新規就職の外国出身高度人材の人数は,当該地域の労働市場状況(市場規模,需給関係,賃金水準など)に大きく左右される。

仮説2:都道府県別新規就職の外国出身高度人材の人数は,当該地域社会の外国人・異文化に対する寛容度(多文化共生環境)に影響される。

仮説3:都道府県別新規就職の外国出身高度人材の人数は,当該地域の生活コスト(家賃など)にも影響される。

 

本研究の実証分析で使われる固定効果モデルは次の通りである。

Yit = α + Xitβ + ui +ɛit

        i = 1, 2, …47;  t = 2015, 2016, 2017, 2018

ただし,

Yは被説明変数である。

Xβは,それぞれ諸説明変数とその係数のベクトルである。

uiは地域i特有の個別効果(固定効果)である。

ɛit は誤差項のうち,時間とともに変化する部分である。αは定数項である。

 

表11に示すように,本研究の実証分析で設定される被説明変数と諸説明変数の意味は次の通りである。

newSKst:都道府県別諸就労ビザを新規取得した留学生(略称:新卒留学生)の人数(即ち,「留学」ビザから諸就労ビザへ変更した人数)

newSKwp:都道府県別「技術・人文知識・国際業務」ビザを新規取得した外国人の人数

newSKre:都道府県別「技術・人文知識・国際業務」ビザを持つ外国人の純増加数

pgrdp:都道府県別1人当たり地域総生産

salary:都道府県別勤労者平均年収

pop:都道府県別総人口

sforeign:都道府県別総人口における外国出身人口の割合

dsratio:都道府県別有効求人倍率(年平均)

hrent:都道府県別平均家賃

上述した諸変数の基本統計量は,表12に示されている。

 

表11 モデルにおける被説明変数と諸説明変数の意味とデータ出所

(出所)筆者作成

 

表12 モデルにおける変数の基本統計量

(出所)筆者作成

 

ただし,一部の説明変数の間に高い相関関係があるので,これらの変数を同時にモデルに入れることを避けるべきである。実際の実証分析では,異なる説明変数の組み合わせで構成される複数のモデルを用いて,検証を行った。

 

4.2 留学生の就職地選択の影響要因

表13は,「新卒留学生の就職地(都道府県)別人数」を被説明変数として,2015~18年のパネルデータと固定効果モデルを用いて分析した結果(2つのモデルの分析結果)を示している。同表からは,次の関係が判明できる。

(1)被説明変数「新卒留学生の就職地(都道府県)別人数」に対して,当該地域の労働市場の規模を反映するpop(地域総人口),雇用機会を反映するdsratio(地域の有効求人倍率),異文化に対する寛容度(多文化共生環境)を示すsforeign(地域総人口における外国人の割合)など3つの説明変数は,統計的に有意な(顕著な)プラスの影響を与えている。そのうち,p値が示しているように,pop(地域総人口)の影響は特に顕著である。

(2)被説明変数「新卒留学生の就職地(都道府県)別人数」に対して,地域の所得水準を示すpgrdp(1人当たり地域総生産,モデル1)とsalary(地域の勤労者平均所得,モデル2)の両説明変数による影響は,統計的に有意ではない。また,地域の家賃水準による影響も,統計的に有意ではない。

こうした実証分析の結果は,前述した3つの仮説の内の2つを概ね支持しているといえる。ただし,地域総人口の影響が非常に突出している理由は,日本の場合,地域の人口規模と地域の所得水準との相関性が比較的高いので,「地域総人口」は地域の労働市場の規模だけでなく,地域の所得水準もある程度反映しているからと思われる。

 

表13 諸説明変数による新卒留学生の就職地選択への影響

(出所)筆者作成

 

4.3 外国人高度人材全体の就職地選択の影響要因

 

表14と表15は,それぞれ「新規採用の外国人高度人材の就職地別人数」と「新規採用の外国人高度人材の居住地別人数」を被説明変数として,同じ2015~18年のパネルデータを用いて分析した結果を示している。両表からは,次の関係が判明できる。

(1)被説明変数「新規採用の外国人高度人材の就職地別人数」に対して,該当地域の労働市場の規模を反映するpop(地域総人口)と異文化に対する寛容度(多文化共生環境)を示すsforeign(地域総人口における外国人の割合)の両説明変数は,統計的に有意な(顕著な)プラスの影響を与えている。そのうち,pop(地域総人口)の影響は特に顕著である。一方,雇用機会を反映するdsratio(地域の有効求人倍率)はプラスの影響を与えているが,モデル1では統計的に有意(顕著)であるものの,モデル2では有意と認められない。

(2)被説明変数「新規採用の外国人高度人材の居住地別人数」に対しても,pop(地域総人口)とsforeign(地域総人口における外国人の割合)の両説明変数は統計的に有意なプラスの影響を与えている。そのうち,pop(地域総人口)の影響は特に顕著である。しかし,dsratio(地域の有効求人倍率)の影響は,モデル1とモデル2のいずれにおいても有意ではない。就職地選択と比べ,居住地選択の場合は,雇用機会という要因の重要性が弱くなると考えられる。

(3)被説明変数「新規採用の外国人高度人材の就職地別人数」と「新規採用の外国人高度人材の居住地別人数」のどちらに対しても,地域の所得水準を示すpgrdp(1人当たり地域総生産,モデル1)とsalary(地域の勤労者平均所得,モデル2)の両説明変数による影響は統計的に有意ではない。また,地域の家賃水準による影響も,統計的に有意ではない。

 

表14 諸説明変数による新規採用の外国人高度人材の就職地選択への影響

(出所)筆者作成

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

表15 諸説明変数による新規採用の外国人高度人材全体の居住地選択への影響

(出所)筆者作成

 

4.4 分析結果の比較と解釈討論

 

表13,表14,表15で示されている実証分析の結果を比較してみると,次の共通点・相違点が特に興味深いと思われる。

(1)新卒留学生,新規採用の外国人高度人材(就職地ベース),新規採用の外国人高度人材(居住地ベース)の就職地・居住地選択に対して,pop(地域総人口)はいずれも顕著な影響を与えているが,その重要度は新卒留学生,新規採用の外国人高度人材(就職地ベース),新規採用の外国人高度人材(居住地ベース)の順になっている。新卒留学生に対する地域総人口の影響が最も顕著になっている理由は,留学生の大都市志向が強いということよりも,彼らの日本語力が高く求職競争の厳しい大都市においても職を得やすい,という解釈が妥当ではないかと思われる。一方,大都市の居住環境は必ずしも良いとはいえないので,新規採用の外国人高度人材(居住地ベース)の地域分布に対しては,地域人口規模による影響が若干弱くなると考えられる。

(2)3つの被説明変数に対して,sforeign(地域総人口における外国人の割合)もいずれも統計的に有意な影響を与えているが,その重要度は,新規採用の外国人高度人材(居住地ベース),新規採用の外国人高度人材(就職地ベース),新卒留学生の順になっている。すでに日本社会の一員になっている多くの新卒留学生よりも,日本語力も日本社会に対する認識と情報収集力も相対的低い新規採用外国人高度人材(特に居住地選択の場合)のほうが外国人の割合の高い地域を選好する,という傾向が伺える。

(3)地域労働市場における需給関係を反映するdsratio(地域の有効求人倍率)の影響の顕著度は,新卒留学生,新規採用の外国人高度人材(就職地ベース),新規採用の外国人高度人材(居住地ベース),の順になっている。そのうち,就職地選択と比べ,居住地選択においては雇用機会という要因の重要度が弱くなることは容易に理解できる。一方,新卒留学生と比べ,新規採用の外国人高度人材に対するdsratio(地域の有効求人倍率)の影響が弱くなっているのは,日本語能力の低い後者は,多くの在日留学生のように自由に日本各地の労働市場情報にアクセスすることができず,就職地を選択する力も弱い,ということが原因と解釈できるのではないかと思われる。実際,地方圏で働いている多くの外国出身高度人材は,人材派遣会社や個人ネットワークの紹介で現在の企業に雇用されたケースが多く,完全に労働市場の需給関係の影響で行動したわけではないと考えられる。

 

5. 分析結果の政策インプリケーションと北九州市への提言

 

5.1 分析結果の政策インプリケーション

 

本研究では,日本における外国出身高度人材の就職地選択行動(地域分布)に着目して,その特徴と影響要因を考察・分析した。主な分析結果は,次のように要約できる。

(1)近年の日本では,景気の回復と少子高齢化の加速に伴い,外国出身高度人材の日本への就職は大幅に増加している(付表1)。

(2)日本で教育を受けた留学生をはじめ,外国出身高度人材の就職地・居住地は,東京圏・名古屋圏・大阪圏など3大都市圏に集中している。ただし,一部の地方自治体においても,外国出身高度人材が顕著に増加している。

(3)日本における外国出身高度人材の地域分布は,地域の労働市場規模を反映する地域総人口,地域の異文化に対する寛容度(多文化共生環境)を反映する総人口における外国人の割合,および地域の雇用機会を反映する有効求人倍率,の3変数(要因)に大きく影響される。特に地域総人口の影響は最も顕著である。

(4)上述した3大要因による影響は,高度人材のカテゴリーによって若干異なる。外国出身高度人材全体と比べ,日本国内の労働市場状況などを相対的に把握している留学生の就職地選択においては,地域総人口と地域有効求人倍率の影響がより顕著である。一方,外国出身高度人材全体の就職地選択・居住地選択(特に後者)においては,総人口における外国人の割合の影響は,留学生の就職地選択における同影響よりも顕著である。

(5)留学生・外国出身高度人材全体の就職地選択・居住地選択行動において,地域所得水準や家賃水準は,統計的に有意な影響を与えていない。

 

以上の分析結果から,外国出身高度人材の受入れを推進している地方自治体にとって,次の政策示唆(インプリケーション)が得られる。

(1)外国出身高度人材は大都市圏での就職・居住を選好するという現実を受け止めて,大都市の優位性に対抗できるような地方都市の魅力を創出し,効果的にアピールする必要がある。

(2)自分の地域に対する外国出身高度人材の親近感・好感度を上げるために,海外先進国や国内大都市圏の事例・経験を参考し,伝統文化を大切にしながら多文化共生の環境づくりを重視しなければならい。

(3)国内在住の留学生と海外の高度人材のそれぞれの長所・短所および就職地選択行動の特徴を理解したうえ,地域社会のニーズに合うグローバル人材戦略を構築すべきである。

(4)大都市圏よりも少子高齢化問題が深刻になっている地方の有効求人倍率は,近年かなり高くなっているものの,求職者に周知されていない。デジタル時代に相応しい人材リクルート方法の改善と人材戦略における産学官連携の推進は,地方の企業・大学・行政の急務である。

 

5.2 北九州市への提言

 

北九州市は九州を代表する産業都市である。日本企業の対外直接投資が本格的に始まった1980年代後半以来,TOTO,安川電機など上場企業をはじめ,多くの北九州企業は海外進出など国際投資・国際貿易活動の活発化に伴い(戴,田村,2017),徐々に外国出身社員の雇用を拡大した。近年の北九州では,ITなど新しい産業分野の成長と景気状況の改善が続いているなか,少子高齢化の加速による労働人口と総人口の自然減少に加え,人口の社会減少(純転出)も起きているため(田村,戴,2016),北九州の労働市場における供給不足が一層顕在化し,各種の外国出身人材に対する需要が大きく増大している(戴,2020)。

一方,約1,600万人以上の非正規労働者が存在している日本では,労働人口の「量」が本当に不足しているとはいえない。労働需給の地域間・産業間・職種間のミスマッチ問題が解決されれば,労働力不足問題はある程度改善できると考えられる。特に,世界中猛威を振っている新型コロナウィルス(COVID-19)の影響で,これからの日本経済・アジア経済・世界経済は大きな減速リスクに直面しており,労働市場における需給関係が急速に変化する恐れがあると予想できる。

こうした人口構造と経済環境の変化動向および地域社会・日本社会の文化伝統を総合的に考えると,外国人労働者の大規模な受入れは,やはり社会の合意を得たうえで慎重に推進すべきである。ただし,外国人労働者の内,日本で高等教育を受けた留学生をはじめ,専門技術・知識をもつ高度人材は,北九州を含む日本の様々な分野の成長・発展と雇用創出に貢献できるとともに,日本社会との融合も(単純労働者より)比較的容易であるので,彼らを積極的に受け入れるべきである。

外国出身高度人材の受入れ・定着に関する具体的な戦略・対策については,本研究の分析結果と北九州市の特徴を踏まえ,次のように提言したい。

(1)企業の外国出身人材のリクルート方法を改善すべきである。AGIの研究報告書(戴,2020)で報告されているように,多くの北九州企業は,外国出身人材をリクルートする際に,依然として個人ネットワークという伝統的な方法に大きく依存している。企業のニーズに合う人材をより効率的に見つけるためには,従来の方法を大事にしながら,求人・求職サイト・産学共催の合同説明会など他のリクルート方法も積極的に利用すべきである。

(2)求めている人材の職種・専門性によって,リクルートの戦略を調整する。日本語能力に対する要求が高い職種については,日本で教育を受けた留学生の中から人材を募集すべきであるが,IT関連分野をはじめとする理工系専門人材を求める職種については,国内外の人材リクルート会社と連携し,海外から直接募集することも重視すべき選択肢である。特に近年では,中国・韓国・台湾・インド・ベトナムなど東アジア諸国(地域)では,IT関連分野をはじめとする理工系分野の卒業生の量も質も顕著に上昇しており,専門スキルについては日本国内で高等教育を受けた学生(留学生を含む)の平均水準を上回る若者が大量に養成されている。彼らは,幼い頃から日本のアニメ文化に影響され,日本語の上達も早いので,重要な人材資源として開発・利用すべきである。

(3)企業は,賃金以外の魅力を求職者にアピールする必要がある。大都市圏と比べ,北九州企業の名目賃金水準がやや低いと見られるが,家賃・物価水準などの要因を考えると,実質賃金の地域格差はそれほど大きくないと考えてよい。実際,本研究の実証分析結果は,留学生など外国出身人材は就職先(就職地)を選択する際に,賃金水準についてあまり重視していないことを示唆している。したがって,優秀な人材を引き付けるために,北九州の企業は,キャリアの発展機会やスキルの向上可能性など,賃金以外の魅力を求職者にアピールする必要がある。

(4)日本国内有数の留学生規模を持つ北部九州(特に福岡県,大分県)の高等教育機関と企業の連携関係を推進し,留学生の地元での就職率を上げていくべきである。北九州において,世界中に知られている有名企業も数社あるが,ほとんどは中小企業である。その中に,環境・建築・介護・観光・ITなど成長ポテンシャルの高い分野で事業を拡大している企業が少なくない。留学生にインターン機会の提供や,産学共同研究会・企業説明会の定期開催などを実施すれば,地元企業および地元全体に対する留学生の理解・好感・絆が生まれ,応募・就職・定着する優秀人材も増えるはずである。

(5)日本を代表する産業都市の1つとしての北九州は,多くの中小都市にない重要な産業インフラ(国際空港・新幹線を含む)・多くの高等教育機関・研究機関・文化施設を有するとともに,世界中最も強い経済成長が続けているアジアに近いという地理位置の優位性も持っている。伝統的な重工業都市というイメージが強いが,東アジアのハイテク創造都市・文化都市・環境首都に変身しつつある。地域行政と大学・研究機関などが,こうした有利な条件と資源を生かし,国際交流事業を通じて北九州の新しいイメージを積極的にアジア・世界に発信すれば,北九州全体の知名度が上昇し,人材誘致に大きなプラスの影響を与えることができる。本研究の結果に示すように,総人口おける外国人人口(特に地域の経済発展に大きく貢献できる高度人材)の割合の上昇傾向が定着すれば,人材集積が加速すると期待できる。

 

参考文献

 

<日本語>

厚生労働省(2019)「『外国人雇用状況』の届出状況表一覧」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_03337.html)

JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)(2019)「平成30年度外国人留学生在籍状況調査」(https://www.jasso.go.jp/about/statistics/intl_student_e/2018/index.html

JASSO(独立行政法人日本学生支援機構)(各年版)「外国人留学生進路状況・学位授与状況調査結果(平成16年~平成29年)

総務省統計局(2020)「統計でみる日本・一般職業紹介状況(職業安定業務統計)労働市場関係指標」  (https://www.e-stat.go.jp/about)

総務省統計局(各年版)「社会生活統計指標-都道府県の指標」(http://www.stat.go.jp/data/shihyou/index.html

戴二彪(2020)「日本における外国出身高度人材の就職地選択行動と影響要因―北九州市の海外人材受入れ政策への示唆―」『2019年度アジア成長研究所調査報告書』

戴二彪,田村一軌(2017)「北九州企業の海外進出と国際ビジネスの展開」『新修・北九州市史(経済編)』 pp.623~648

田村一軌,戴 二彪(2016)「九州地域における人口減少対策:国際観光都市別府の事例からの示唆」 『東アジアへの視点』第26巻3号,pp.1~12

ディスコ (2019)「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する調査」株式会社ディスコ

内閣府(2020)「県民経済計算」(https://www.esri.cao.go.jp/jp/sna/sonota/kenmin/kenmin_top.html

法務省(各年版)「在留外国人統計(旧登録外国人統計)統計表」

http://www.moj.go.jp/housei/toukei/toukei_ichiran_touroku.html

法務省出入国在留管理庁(各年版a)「留学生の日本企業等への就職状況」

2001~12年(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00013.html

2012年以降(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou

(2015年以降,入国管理局から出入国管理庁へ昇格・名称変更した)

法務省出入国在留管理庁(各年版b)「日本企業等への就職を目的とした『技術』又は『人文知識・国際業務』に係る在留資格認定証明書交付状況」

2001~12年(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00013.html

2012年以降(「日本企業等への就職を目的とした『人文知識・国際業務』及び『技術』に係る在留資格認定証明書交付状況について」とタイトル変更)(http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou

文部省学術国際局留学生課(1983)「21世紀への留学生政策に関する提言について」『学術月報』(日本学術振興会編),36巻第7号,p.514~516

文部科学省等(2008)「留学生30万人 計画」骨子」(https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/ryugaku/1420758.htm

文部科学省(2019)「留学生政策の基本方針」

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/043/siryo/__icsFiles/afieldfile/2019/01/21/1396556_6.pdf

文部科学省(2020)「留学生政策に関する各種提言等」

https://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo4/007/gijiroku/030101/2-2.htm

文部科学省(2018)「外国人留学生の就職支援について」

https://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/suishin/meeting/wg/hoiku/20180305/180305hoiku01.pdf

<英語>

Bloom, D. E. and J. G. Williamson (1998), “Demographic transitions and economic miracles in emerging Asia.” World Bank Economic Review, Vol.12, No.3, pp. 419-455.

Dai Erbiao and Hatta Tatsuo (2019), “ The effects of demographic changes on regional economic growth: Evidence from Japan”, Singapore Economic Review, (forthcoming) (https://doi.org/10.1142/S0217590818420109)

Liu, Yang (2016), “To Stay or Leave? Migration decisions of foreign students in Japan”, RIETI Discussion Paper Series 16-E-097

Peng, Xue (2012), “Why does overseas Chinese talent intend to return: A case study on the determinants of Chinese talent in Japan”, ICSEAD (AGI) Working Paper Series, Vol.2012-08.

 

 

 

付表1 近年の日本における外国人就労者全体(在留資格別)の推移(単位:人)

(注)各年10月末現在のデータ。

(出所)厚生労働省(2019)より作成

 


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です